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【比較レビュー】『Winning Post 10』と『Winning Post 9 2022』はどっちが良いのか

©コーエーテクモゲームス

とりあえずサッと30年ぐらいプレイした感想です。
単体で見て面白いか面白くないかというよりは、

ウイポ10は買いなのか」
「9を持っているプレイヤーは乗り換えるべきなのか」
「初めてウイポをやる場合はどちらを買うべきなのか」

という疑問へのアンサーなので、前作『Winning Post 9 2022』との違いを挙げ、比較するレビューがメインになります。

結論を先に言うと、『Winning Post 10』はこれまでのコエテク基準で考えれば追加パッケージ(最近は新作として売っています)が無い段階なのに、かなりよくできている方だとは思います。

ウマ娘に発する昨今の競馬ブームにライドするぞという強い意志を感じるデキです。歴代の無印版との比較であれば3倍ぐらいよくできているのではないでしょうか。

ですが、steamでのレビュー評価「非常に好評」はちょっと甘くないか?という感想です。
steamのレビューって〇か×かでしか付けられないので、「どちらかというと〇」としか言いようがない今作は実態より評価が高く見えがちかもしれません。

詳しく解説していきます。

 

 

 

× 人名しかエディットできない 

毎度のことですが、ウイニングポストはナンバリング初回の作品は騎手や競走馬の能力をエディットできません。

新年度版を販売するときに「新要素です。10を持ってる人も買ったほうがいいよ!」という顔をするために、能力エディット機能が封印されています。これはこのメーカーが『信長の野望』や『三国志』でも使っている手です。

前作でもそうでしたが、史実期間をプレイしていると結構な頻度で「この馬はこんなに強くない」「この馬はもっと強いはずだ」という不満が出てきます。

「俺が好きな馬だからもっと強くしろ!」「俺はこの馬が嫌いだからもっと弱くしろ!」みたいな話ではなく、デフォルトの能力設定が甘いために史実とかけ離れた戦績・歴史になりがちです。

ウイポの〇〇はこんなに強いんだ!笑」で済ませられる人はあまり気にしないと思うんですが、今作で言うとコントレイルが古馬になっても皆勤で無双し、サトノダイヤモンドなどはオルフェーヴルか??というぐらい勝ったりしますし、逆にエフフォーリアは弱すぎてGⅢのハンデ戦をショボショボ走ってGI未勝利で引退します。ホワイトストーンがライアンを対決の度に完封するのも謎です。
こういう馬が自分と関係のないところで戦績を作っていたとしても結構冷めます。キャラ全然違うやろ。

自分は1周目で「強すぎる馬」と「弱すぎる馬」をメモしながらエディットで調整して2周目が史実のバランスに近づくことに満足感を覚えるので、エディットのないウイニングポストは醤油のない刺身みたいな感じでかなり寂しいです。
そもそもこんな1周したらわかることぐらいちゃんと調整しとけやという話ではありますが。

一応アプデでちょいちょい能力調整されてはいるようです。

 

 

◎ 調教要素が大幅にパワーアップした

前作にも『絆コマンド』という能力底上げ要素がありましたが、今作には『史実調教』というサブパラ底上げシステムがあります。

『絆コマンド』では頻繁に起こっていた「腐っているコマンドが表示欄を圧迫して使いづらくなる」ということもなく、ベースUIもそれなりにスッキリしていてストレスなく使えます。

調教要素はマネジメントだけをやりたいプレイヤーには面倒が増えて鬱陶しいと感じるかもしれませんが、1か月に2回しか使えないという制限があり、毎ターン管理馬すべての調教を操作しなければならないというようなことはありません。
回数を余らせた場合は月送り時にオートで使用させることもできるようになっており、ちょうどいいライトさにまとまっています。

この新要素によって、ローテ管理と幼駒の間引きだけをやっていた前作までと比べてやることが増え、ウイポ10は若干ダビスタっぽいゲームになっている印象です。

ちなみに史実をモチーフにしたトレーニング名がついているというだけで、入手条件や能力との紐付はかなり適当です。
年代が進んでいく過程で「トレセンに新施設が完成!」とか、「新しい理論の浸透!」みたいなイベントがあれば『史実調教』というネーミングにも非常に納得できるんですが、調教師と知り合ったりGIを勝ちまくっているだけでポンと新しいコマンドを渡されるので、ドヤ顔で史実調教!とか言ってるのはちょっと違和感というか、雑な印象を受けます。

 

 

 

 ×『史実調教』があまりにも強すぎる

前作の『絆コマンド』のUIと使い勝手が暗黒すぎたこともあり、新要素の『史実調教』は「良くなってるな!」と感じてはいるのですが、あまりにも簡単にサブパラを調整できてしまうため、ゲームの面白さを損なうレベルにまで片足を突っ込んでいます。

精神GとかパワーGの馬でもBぐらいまでは楽々底上げできてしまうため、前作までの醍醐味でもあった「極端に凹んでいるサブパラのせいで才能が花開かなかった」というケースがかなり少なくなります。というか、なくなります。

「もう少しパワーがあればGIに届いた」「高スタのダート馬に柔軟性がないせいで何もできなかった」「精神力が一歩足りないので海外では勝てない」というようなことがなくなり、スピードさえ足りていれば大抵のことが思い通りになるので正直15年ぐらいで飽きてきます。

現状は難易度が『EXPERT』までしか選べないため、次年度版で追加されるであろう『SPECIAL』難易度でどれぐらい勝ちづらくなるか、または『史実調教』自体に調整が入るかどうかで評価はかなり変わってくると思います。

前作は前作で「使ってるうちにもうちょっと克服してもいいだろ」という部分もあったと言えばあったので、少し匙加減が変わるだけでコントロール可能な成長要素として面白くなると思います。

 

 

◎ 調教で疲労が溜まるため、放牧が必要になった

前作は月末に1週放牧していれば永久に回せましたが、前述の『史実調教』によって疲労が蓄積するため、多少まとまった放牧を使う機会が増えました。
前作よりはリアリティがあって良いと思います。『健康』のサブパラの価値も少しだけ増しています。

自分はこれまでウイニングポストシリーズをプレイしていて現役所有馬が故障したことは一度もありませんでしたが、今作で初めてレース中に所有馬が故障しました。

 

 

◎ 全体的にUIが改善された

決して良いUIではないですが、前作よりはかなりマシになりました。
前作を25点とすると55点ぐらいにはなっています。9は本当にひどかった。

 

◎ 鬱陶しい繰り返しイベントが削除された

世界なんちゃら決定戦みたいなやつが消えました。
5回に1回ぐらいしか参加しない(そんな都合よく適性のある馬を持っていない)のに、いちいち画面が切り替わって鬱陶しかったので良かったです。

絆コマンドがなくなったので、毎月のようにピンポーン!というSEを聴かされる「絆コマンドを渡しに来る訪問者」のイベントもなくなりました。

 

 

 × 歴史語りイベントも消えた

前作では歴史的名馬の登場や引退、「今年はこういう年だ!」みたいなことを頻繁にNPCが語っていましたが、そういうイベントも消えました。
これは予想なんですが、新年度版を出すときに9から会話データをまるまる引っ張ってきて新要素としてアピールしてくるような気がしています。

 

 

 

× 米国所属の馬だけが異様に勝てない

日本からの遠征は前作よりだいぶ勝てるようになっている(単純にSPECIALとEXPERTの違い?)と思うんですが、2歳馬の所属を米国にすると何故か異様に勝てません。

日本の厩舎に入れると国内のGIを総なめにして遠征でブリーダーズカップを勝てるような馬ですら、米国所属にするとGIをひとつも勝てないというようなことが起こります。
何らかの強烈なペナルティがかかっていると思うのですが、よくわかりません。欧州はまあまあ勝てます。もしかしたら修正されるかもしれません。

 

 

◎ レース画面が綺麗になった

一応◎です。
プロモーション映像を見たときは「スゲ~!!」と思ったのですが、ドラマチックのカットイン演出は負けるときでも出るのでパチンコの勝ち確演出的な快感があるわけでもなく、10回ぐらい見たら飽きます。

 

 

◎ どん詰まりがかなり減った

前が壁になって大敗することがかなり減りました。体感では前作の半分以下です。
こじ開けるような挙動が発生するようになっており、詰まっても割と抜けてきます。
完全になくなったわけではないのでちょうどいい感じです。脚色が明確に違うときだけガバッと割ってくる気がします。

強い馬が苦しいところからギリギリ割ってきた、みたいなシチュエーションが発生しやすくなっていて面白いです。非常に好印象です。

 

 

◎ 馬の個性を出す『ウマソナ』システム

単純なプラスの個性だけではなく『詰めが甘い』などのマイナスに作用する個性や、『ムラッ気』のような二面性のある個性、「強く追われるほうが良い」=「剛腕持ちの騎手と相性が良い」というような個性も存在し、競走馬に「ただ強いだけじゃない」というキャラ付けがされるようになっています。
成長の過程でマイナスの個性を克服し、プラスに作用するようになったりするのも面白いです。

ただ、これにもちょっと言いたいことがあるというか、システム自体は面白いんですが、レースへの影響がそこまで強くないため、慣れてくると何が付与されても結局どうでもよくなってきます。
もっと強烈にレースや育成に影響が出るようになったほうが面白いと思います。

 

 

結局ウイポ10は買いなのか

褒めるところもたくさんありましたが、答えはNOです。

前述のとおり、少し変われば過去作よりもだいぶ面白くなりそうだなという感触はあるため、「10を買わないほうがいいなら9買うか」というムーブもおすすめしません。

半年後ぐらいに出る(多分)『Winnning Post10 2024』を待つのが一番いいと思います。

前作までの慣習に則れば、DLC販売ではなく新作としてフルプライスで買わされるので、いまウイポ10を購入することはおすすめしません。
昔のようにハーフプライスでパワーアップキットを追加する形なら買ってもOK!と言えましたが…。

現在9を持っている人も、これからウイニングポストを始めてみようという人も、恐らくあと半年~1年ほどでもっと面白くなったバージョンが新作として発売されるので、それを待ったほうが良いですよというのが結論です。

ただ、「半年後に改良版パッケージが出たらそれはそれで買うから別に良いよ」という方であれば、今すぐ10を購入してもそれなりに満足できるデキではあると思います。
少なくとも駄作ではありません。

 

 

歴代の過去作を買うのはアリかナシか

「歴代のウイニングポストの中でどれが一番面白かったか」という着眼点で調べると「一番面白かったのは〇〇!俺は未だにこれをやっている!」みたいな話を見る機会は多いと思いますが、古すぎる作品を買うのはまったくおすすめしません。

自分も今までで一番面白かった、最高傑作だと思うのはWinnnig post 6 PKなので、「まったく最近のウイポは・・・」と言いたくなる気持ちはわかります。

ですが、三国志信長の野望なんかとは違って、ウイポは他のスポーツゲームと同じように現実の競馬とデータの更新が連動しているため、新作では数百頭単位で新しい馬のデータが更新されたり、コースデータが増えたり、レースの番組表が最新のものに更新されたりしています。

さすがに今更3年以上古いものをプレイするのはまったくおすすめしません。

いくら過去作のほうがシステムやUIがスッキリしていて良かったと言っても、今でいう2代前血統の馬のデータすらないゲームにはハマれないと思います。

古い作品ではレースのグレードや使われているコースなんかも違います。最近の騎手のデータも入っていませんので、素直に最近のものから選んだほうがいいです。

 

※23.11.24 追記

『Winnning Post10 2024』の発売日が24年3月28日と正式に発表されました。