昨年、ちゃちゃっとyoutubeショートレベルの動画が作れるようになったら面白そうだよなあと思い立ち、自分で実際にメジャーな動画編集ソフトを触って比較したので、その感想です。
この手の記事は巷に溢れていますが、「本当の動画編集未経験者が」「本当にすべてのアプリで動画を作ってみて感じたこと」を書いた記事は見たことがないので書きました。
- これから始めるならPC動画編集ソフトは6択
- Adobe Premiere Pro
- Final Cut Pro
- WonderShare Filmora
- AviUtl
- DaVinci Resolve
- YMM4(ゆっくりムービーメーカー4)
- 実際に筆者が選んだソフト
- Filmoraは「買い切りと年間プランどちらがいいのか」について
これから始めるならPC動画編集ソフトは6択
■ 有料
・Adobe Premiere Pro(アドビ プレミアプロ)
・Final Cut Pro(ファイナルカットプロ)
・WonderShare Filmora(ワンダーシェアーフィモーラ)
■ 無料
・AviUtl(エーブイアイユーティル)
・YMM4(ゆっくりムービーメーカー4)
この他にも色々あるように書いているサイトもありますが、実質6択だと思います。
大抵のサイトでは最終的におすすめソフトとしてPremiere Proを挙げていますね。自分もほとんど異論はありませんが、その結論に至るまでの過程や書き方にはかなり言いたいことがあるので、この記事を書いています。
以下、1つずつソフトを絞って書いていきます。
Adobe Premiere Pro
■ 長所
・大大大大正義、超メジャーなソフト
・編集のプロはみんなプレミアを使っている
・「動画編集の仕事」をやりたいと思ってるなら絶対これ
・使用人口が多いので情報や素材も多い
・コストが許容できるならあえて他を使う理由が特にない
■ 短所
・まじ値段高すぎワロタ
・youtubeレベルの動画は他のアプリでも余裕で作れる
・というか「Prにしかできないこと」が何なのか未だにわからない
・動画編集の仕事を請けないなら別にこれじゃなくてもいい
もし動画編集ができるようになったら・・・あわよくば副業で小遣い稼いだりしたいンゴねえ~、とか思っているのであれば絶対にこれです。
どんな簡単な仕事内容(字幕入れるだけとか)でもほぼ確実に「プレミア使えないやつに用はない」と書いてあります。この程度の内容なら他のソフトでも余裕でできるだろ!とかは関係ありません。免許みたいなもんです。
「自分のyoutubeチャンネルをやりたいだけ」とか、「身内に見せる動画が作れればいい」とか、「あくまで趣味として始める」という場合はとにかく価格がネックです。
年間一括28776円(月額2398円)、単月払いの場合は月額3828円。遊びで使うには高すぎます。買い切りはありません。サブスクのみです。
使うソフトをプレミアにしておけば将来仕事にできるレベルまで到達したときに大きな顔ができますが、「ちょっとした動画編集ができるようになりたいなあ」という入り方からそこまでたどり着くのは数百人に1人とかだと思います。
プレミアを使っている人は他のソフトを触る理由がない(年3万円の最高級ソフトを使っているのだから当然)ため、普段からPrで動画を作ってる人が再生数稼ぎとか案件でやっている「ほかの動画編集ソフト触ってみた!」みたいな解説はハナから「ま、プレミアより良いわけないわな」と思っているのが透けまくっており、彼らの話す内容にはそういうバイアスがかかっているということも考慮したほうがいいと思います。
常に最新のiPhoneを持っている人に「スマホ買うなら何がいいと思いますか?」と聞いても「iPhone」と返されるぐらい当たり前のことです。
プレミアじゃないとどれだけ使えても仕事にはならないという話も、「youtubeで稼げる」のと「動画編集の仕事を請ける」のは別であるという認識が必要です。
Prを使えないと動画編集の仕事を請けることはできませんが、Pr以外のソフトでもyoutubeで多くの人に見られるような動画を作ることは普通にできます。
Final Cut Pro
■ 短所
・Macでしか使えない
Mac専用のソフトです。
一覧に挙げていないと舐められそうなので挙げました(は?)。
Windowsで使えないため、使ったことがありません。すみません。「全部使った」というのは嘘でした。これは使っていません。
WonderShare Filmora
■ 長所
・安い(買い切り8480円、サブスク年間6980円:月額換算で約600円)
・UIがわかりやすい
・初見で適当に触っても形になる
・それっぽい素材を多数内蔵している
・素材管理でフォルダの中身をいじったりする必要がない
■ 短所
・仕事にしたいなら後からPremiere Proを覚えなければならない
・追加プラン、料金体系がわかりづらい
・テンプレートで動画を作ると「こいつFilmoraでやってるな」とすぐわかる
・「ソフト何使ってる?」「フィモーラです」←ダサい、雑魚っぽい
大抵の比較解説で「ま、ちょっと動画編集してみようかな程度ならいいんじゃないですか?どうせ後からPremiere Proやることになりますが笑」みたいに言われているのがこのソフトです。
ほとんど間違っていませんが、先述したようにこれはプレミアで編集の仕事を請けるところまでいっている人の意見です。Prで始めても皆がそこまでいくわけではありませんし、皆がそこを目的としているわけでもありません。
フィモーラはここ2回のアップグレード(12と13)でかなり機能が充実しています。FilmoraX以前よりもできることが段違いに増えており、23年以前に機能を検証しているような情報はすべて古いです。情報が更新されていないところでは「キーフレーム機能がない」とか書いているものまでありますが、普通に使えます。
直近アップグレードのFilmora13では素材データなしで図形を追加して動かしたり、テキストの一括編集、AI字幕起こし、キーフレームのイージング、サブシーケンス機能など、従来「フィモーラはこれができないからクソなんだよな」と言われていたような部分はほとんど改善しています。個人的には半年ほど触ってみても「これができないから困るな」と思うような部分は特にありません。
先に書いたように、「プレミアプロが使える」というのは免許みたいなもんなので、「実際にどのぐらいのレベルの動画が作れるか」とはあんまり関係がありません。
どんなに丁寧で洒落た編集ができてもプレミアじゃないと無免許運転、というのが界隈の常識的な価値観です。仕事に使うのであればプロジェクトファイルや素材データを共有する上で使っているソフトが違うと話にならないので、最大手に合わせるのが当然です。
Filmoraで編集の仕事を請けることはほぼできませんが、自分のチャンネルでyoutube広告料を稼ぐクオリティの物は普通に作れます。何十万回と再生されている動画を見ていて「これFilmoraでやってるな」と思うことも結構あります。
AviUtl
■ 長所
・無料で高機能
・軽い
・「ソフト何使ってる?」「AviUtlです」←う~ん、やり手っぽい
■ 短所
・仕事にしたいなら後からPremiere Proを覚えなければならない
・UIがいかにも古くとっつきにくい
・「ソフト何使ってる?」「AviUtlです」←う~ん、ヤバいオタクっぽい
動画編集古参兵がよく勧めているソフトです。フリーソフトでありながらPremiere Pro級の機能を使うことができます・・・が、UIがいかにも00年前後の時代感があってとっつきにくさを感じます。
導入にもこのサイトからDLしたこのデータをこのフォルダに入れて、設定からこれをこうして・・・というような、プラグインによる機能追加が肝なのでゲームにMODを追加していくような手間が必要です。
身近にAviUtl名人がおり、その人が環境構築から親切に教えてくれるというのであればとても良いんじゃないかと思いますが、現代の素人が裸一貫でこのソフトから動画編集を始めるというのは相当な意気込みが必要なんではないかと思います。
DaVinci Resolve
■ 長所
・無料で高機能
・動画編集のプロも一目を置くソフト
・「ソフト何使ってる?」「DaVinciです」←う~ん、やり手っぽい
・ひろゆきが使っている
■ 短所
・仕事にしたいなら後からPremiere Proを覚えなければならない
・UIがだいぶわかりにくい
・「ソフト何使ってる?」「DaVinciです」←う~ん、偏屈なオタクっぽい
・ひろゆきが使っている
Blackmagic Designというカメラメーカー?が無償提供しているソフトで、プロ級の編集ができる(らしい)ソフトです。
ひろゆきが「無料でこれが使えるのにアドビに高い金払って趣味レベルの動画編集やってるやつって・・・笑」みたいな話をしたことで知られており、特に色調をいじる性能が高いらしく、プレミア使いの間でも注目されているソフトです。
が、UIが他に比べてかなり独特で自分にはわかりませんでした・・・他のソフトのUIはある程度プレミアプロ準拠で画面の構成が8割ぐらい同じなんですが、ダヴィンチはちょっと異質です。他は全部車だけど、こいつだけバイクか??みたいな感じです。確かに同じ道走るし共通点あるけど運転方法だいぶ違うだろみたいな。
自分にはちょっとわかりませんでしたが、これから動画編集を始めるのであれば無料なので一旦触っておいても損はないと思います。
個人的なド偏見なんですが、これを推す人って正直なんかちょっと鼻につくというか、あんまり近づきたくない人が多いです。ひろゆきが言っているからとかではなく、全体的にそういう感じがします。
YMM4(ゆっくりムービーメーカー4)
■ 長所
・無料
・音声内蔵でゆっくり動画、ずんだもん動画が作れる
・意外と簡単
・実は仕事が結構ある
■ 短所
・ゆっくり動画、ずんだもん動画を作らないなら他でいい
youtubeでよく見るゆっくり動画、ずんだもん動画はほとんどこれで作られています。立ち絵を配布サイトからDLしてフォルダに入れる必要はありますが、お馴染みの読み上げ音声は内蔵されており、意外と簡単にゆっくり動画を作ることができます。
個人チャンネルでゆっくりやずんだもんの動画をやりたい場合は勿論のこと、「YMM4で指示通りの動画を作ってください」というような仕事は結構あるので、「小遣い稼ぎ」に動機の重点を置いている場合はこれ1本を極めるのも道ではないかと思います。
「ゆっくりとずんだもんで飯を食うんだ」と思っていない場合でもネタとして作れるとちょっと面白いので、触ってみる価値は十分あると思います。立ち絵は自由に変えられるため、自作イラストやいらすとやのフリー素材を使って読み上げを入れているような動画もこれで作れます。
当たり前ですが、このソフトを使ったら絶対にゆっくり音声が入るとかではないので、簡単なカット編集やシンプルな字幕挿入だけを無料でやりたいという場合にも結構良い選択肢だと思います。UIは比較的わかりやすく、無料で使えます。
実際に筆者が選んだソフト
自分はメインでFilmora、たまにYMM4を使うというところに落ち着きました。
上にも書きましたが、Filmoraのいいところは初見で触っても感覚的に理解できて、課題(やりたいこと)を見つけて1歩ずつ進めやすいところです。ゲーム感覚で触れます。
あと、Filmora上で画像素材の切り抜きをAIに一発でやってもらえるのが便利です。画像を切り抜くためだけに立ち上げることも結構あります。
Filmoraは低レベル!みたいに言われていることが多いですが、所詮youtubeレベルの動画はゲーム実況からVlog、ペットや料理動画、商品レビューや教育的なものに至るまで、ほぼ例外なく録画や動画素材を切り張りしてその上に画像と文字をのせて多少動かしているぐらいの物しかないです。その程度の一般的な動画編集にソフトのレベルが低いも何もないと思います。今から釣りを始めてみようかなと思ってる人に「その装備じゃマグロ釣れませんよ」とか言ってソナー付きの漁船を勧めてるみたいなもんです。大抵の人は一生陸釣りでいいんですよ。
結局のところ、ここに挙げたどのソフトでもそれなりのことは普通にできます。
操作や機能を理解する前に投げ出してしまわないかが最重要なので、「あかん、全然意味わからん!」と思ったら1本のソフトに固執せず、次々にソフトを乗り換えてみるのがいいです。自分が一番わかりやすいと思ったのはFilmoraでした。
Filmoraは「買い切りと年間プランどちらがいいのか」について
実際に購入して1年以上使った経験から「Filmoraは本当に買い切りのほうがお得なのか」「追加のプランや保証は必要か」などについて詳しく書きました。
料金についても解説しているので、使用を検討されている方はこちらの記事も読んでみてください。